金の性質
特筆すべきは、その不変性です。
金は化学的に非常に安定していると言われます。熱伝導、電気伝導ともに優れた性質を持ち、空気に浸食されません。熱、湿気、酸素、その他ほとんどの化学的腐食に対して非常に強い、つまりは錆ません。
そのため、貨幣や装飾品の材料として用いられることが多かったのです。ハロゲンは金と反応を起こし、王水やヨードチンキによって金を溶かすことが出来ます。
少し専門的な話になりますが、金の中でも安定している原子価は +1(金(I))、+3(金(III))です。金イオンはすぐに合金となっている他の金属によって還元され、添加された金属は酸化されます。
このような特性を活かした例としてあまりに有名なのは、太古エジプトのツタンカーメン王の仮面でしょう。それが今だに黄金の輝きを保っている事実はこの安定性が所以です。
もしも、他のメタルであれば、おそらく酸化して、遠の昔に朽ち果てていたことでしょう。この不変性と希少性により古代から権力者に好まれ、後には価値の基準である貨幣として通用するまでになりました。
金は単体では金色と呼ばれる光沢のある黄色い金属ですが、非 常に細かい粒子状にすると黒やルビー色に見えることもあり、時には紫色になります。これらの色は金の知覚範囲内のプラスモン周波数によるもので、黄色と赤色を反射して、青色を吸収する反応を示します。同様の性質を持つ金属はほかに銅とセシウムしかなく、金色に見える金属 はこの3種類しか存在していません。

また、展性・延性に優れ、最も薄くのばすことができる金属でもあり、 1gあれば1平方メートルまで伸ばすことが加可能です。
平面状に伸ばしたものは、建築物や工芸品でよく見る「金箔」(きんぱく)、豪華な衣装を作る時に繊維素材に加える糸状に伸ばしたものを「金糸」(きんし)と呼びます。
豪非常に柔らかいため、他の金属と混ぜ合金とすることで、他の金属の伸長性が増し、変化に富んだ色の金属を作ることができます。
自然に存在する金には通常10%程度の銀が含まれており、20%を超える物は琥珀金と呼ばれます。